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強首温泉という，ちょっとマイナーな温泉で，数件の宿があるのみ。
しかも，今回宿泊した樅峰苑は，源泉から数キロ程度，お湯をひいてきているため，周りには他の宿はありません。宿は川の近くにあるのですが，この一帯では川が氾濫しやすいため，輪中（住宅地の周りを堤防で囲む）になっているようです。
ここの建物は登録有形文化財に登録されています。この制度は，建築後５０年を経過して国土の歴史的景観に寄与しているもの，再現することが容易でないものなどの条件に当てはまる建造物が対象となります。
大正６年に完成した，ここの建物は当時の１２代当主が「強首地震」（大正３年）での教訓から，宮大工を一年間京で修行，耐震技術を会得させ，建てたものだそうです。
また，単に頑丈なだけではなく，玄関口の廊下の一枚通しの天然秋田杉を使った廊下や，おしゃれな階段室，さらに１階の４つの部屋の中央にある柱を除くことが出来るという独自の技術も取り入れられている，凄い建物です。
私たちが宿に到着したのは午後４時頃。立派な建物に感動です。門構えに感心，そして艶やかな廊下に感心，その上には風情のある提灯が飾られています。
宿泊する部屋は２階になるのですが，少し急な（でも趣のある）階段を上っていきます。
部屋は，ふすまで仕切られるタイプ（８畳あるいは１０畳くらい）の部屋が４つ，一つ一つ区切られているタイプ（６畳）の部屋が２つとこじんまりとしています。
さすがに，ふすま区切りの部屋はどうかなということで，個室タイプの方をお願いしていました。
部屋には扇風機が一つ。冷蔵庫があるわけでもなし（１階で飲み物は買えます），特に装備品があるわけでもないのですが，まぁ，ここにそういうものを期待してくるわけでは無いですからね。
ただ，この日は，この場所としても暑い日だったみたいで，後々，大変なことになります。ちなみにトイレは共同となりますが，少し前に直したのか，この建物のような由緒ある（？）感じではなく，小奇麗なものでした。
（樅峰苑の入り口です）
（建物の立派な外観です。
手前が勝手口，奥の提灯が架かっているのが入り口）
（建物の中の様子）
（２階の様子です。右に見えるのが８畳の部屋です）
一休みした後，お風呂へ。普通に４～５人くらいが入れそうな湯船があるだけの，ごくごくシンプルな内湯が男用と女用にあるだけ。露天風呂好きな私としてはちょっと残念です。
でも，お風呂は貸しきり状態でゆったりと。お湯は少し熱めな感じがしましたが，後で入ったときはちょうど良いくらいでした。
初めに書いたように，少し先の源泉からお湯を引いてきているので，温め直しているようです（たぶん）。
浴槽はごく普通なのですが，お湯の感じは独特です。黄金色のお湯で滑らかな肌触り。なんか，よく効くような印象を（漠然とですが）感じてしまいます。あまり無いタイプのお湯でした。
お風呂をあがって部屋に戻ると，部屋の中は少し熱がこもってます。どうしても，風が吹き抜けない部屋の構造になっているのでしかたがないのかな。
でも，廊下に出ると心地よい風が入ってきます。２階から眺める樅の木々は良い感じです。
（女性用の内湯です。黄金色のお湯です）
（男性用の内湯です）
（曇りガラスですが，陽が差し込みます。清潔感のある洗い場です）
そして晩御飯。なんといっても，ここの食事はお勧めです。
１階の大広間でゆったりとしながら食べます。当然，外との壁を閉じていないので，開けっ放しのまま。すぐ近くの木をイタチ（か何か）が上がっていったりするのも見れるぐらいです。
ビールは生ビール。美味しい食事には，やはり生ですよね。出てくる料理も一品一品が，地元の食材を元に丁寧に丁寧につくったもの。
叩き系（骨なんかをたたいて，みぞれ状にしたようなもの）とか，味噌和え系のものとか，美味しくいただきました。上手に伝えることが出来なくて，個人的にはもどかしいのですが，本当にここの食事はお勧めです。
晩御飯の後は，部屋でゆっくり，のつもりが暑すぎて。廊下の突き当たりにある椅子に座って，お酒をちびりちびり。外は静かでした。
で，酔っ払ったところで部屋に戻って，扇風機を直接当たらないようにして回したまま寝ました。
翌日の朝ごはんも美味しく，ちょっとこの旅行で食べすぎだった私はご飯のお代わりはできませんでしたが，普通，他の人は２杯，３杯食べるようです。それも納得のご飯の美味しさです。
最後にもう一風呂浴びて宿を後にしました。ここはちょっと変わった温泉も楽しめますが，雰囲気のある建物，そして素朴だけど手の込んだ食事を楽しめる宿でした。
（夕食のお膳です。この後，更に出てくるのですけれど）
【宿の情報】
強首温泉 樅峰苑
秋田県大仙市強首字強首２６８
内湯
ナトリウム塩化泉（約４７．１度） 高張性中性高温泉
［源泉名/大場崎温泉，強首温泉２号泉混合泉］
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